三重映画フェスティバル実行委員会のご協力によりお送りしている「三重映画さんぽ」今回は看板職人・紀平昌伸さんにご登場いただきました。
津市にある工房には、人の背丈を超えるほどの大きな手書き映画看板が所狭しと置かれています。
紀平さんは約60年前、15歳の頃に看板職人に弟子入りし、4年ほど修行。その後、自分の会社を持ち、看板を描き続けました。
当時は映画2本立て1週間の興行で、映画館の入り口に「ただいま上映中」という映画の看板と次週上映するという「予告」看板を描いていました。その頃、津市内には10館の映画館があり、そのうちの3館を、1枚1日のペースで描いていたそうです。
「上映中」の看板は縦1メートル80、横5メートル40の大きさがあり、映画会社から送られてくるポスターや場面写真を見て、看板にどう描くか、頭の中で拡大します。見たものをすぐに拡大し早く描く。出ないと絵具が乾いてしまうんです。「映画のお客さんの入りが悪いのは看板のせい」と言われることもあったそうで、どのように描けば迫力あるものになるか、構図も大事です。
そんな映画看板もIT技術の進歩で、作成されなくなり、職人さんも減って来ました。
紀平さんも30数年ほど、映画看板の製作から離れられ、2005年に再び映画看板を製作されることになりました。機械でどのような看板もできる世の中になりましたが、昔は、こんな手描き映画看板があったんだということを改めて知って欲しく、全国1級技能士優秀作品展に出したのがきっかけで、その後、テレビに出たことも後押しとなり、映画看板の個展を開きました。
今、紀平さんのもとには映画看板が94枚ほどあります。津松菱が、来年、創業60周年になるので、大規模な個展をされるそうです。100枚以上は展示される予定です。
全国の映画ファンに見てもらえるよう頑張っていらっしゃいます。
山上和美でした♪