みなさんこんにちは、伊藤あやです
毎週金曜日 FM三重「READY!」内
午前9時30分頃からお送りしている
「四日市市 大矢知そうめん」をご紹介しました★
四日市市の伝統産業「大矢知手延べそうめん」
"そうめん"というと、
どちらかと言えば、夏のイメージがありますが、
そうめん作りのピークは、寒い冬の時期!
そこで、おいしいそうめんができるまで・・・を取材しました。
高級麺として名高いこの大矢知そうめんは、
約200年前(江戸時代末期)から
「三重の糸」 「伊勢そうめん」として知られ、
農家の冬の副業として生産されてきました。
そして、大正時代の中頃には、
手延べ生産から機械生産へと次第に移り
乾うどんもつくられるようになったそうです。
一方、手延べそうめんはというと、
太平洋戦争の影響もあって急速に衰え、
現在では、全国の1%にも満たない小規模生産となっています。
ただそれでも、変わらず伝統の技を守る方たちがいる!
今回私が取材で訪れたのは、吉原製麺所です。
ちょうど庭先では、そうめんの天日干しが行われていました!
そもそも、なぜ
この大矢知地区でのそうめん作りが盛んなのかというと
それは、なんといってもこの気候風土です!
地元を流れる「朝明川の水」と、
この厳しい冬に吹く冷たい「鈴鹿おろし」によって
そうめんをおいしく仕上げるそうです。
今回は、そうしたおいしさの秘密と、伝統の技をご紹介しました。
材料は、粉と水、塩のみといたってシンプル!
素材を重視し、余分なものは一切入っていません。
さて、そんなそうめん作りですが
作業はおよそ2日間かけて行われ
1日目は、生地を作る作業!
まず第1に、麺は気温などの気象状況に
大きく左右されるという特徴があります。
その麺は、2日かけて作られるそうですが
(1日目が生地づくり、2日目が製麺)
生地を作る際に気を付けなければならないのが
製麺される翌日の気象。
これをを頭においたうえで作らなければなりません。
つまり、翌日の天候を予想して、
塩や水加減を調整しなければならないというわけなんですね。
当然、天候はある程度天気予報を参考にできますが
やはり、地域的なものもありますし、当日にならないとわかりません。
ですから、それだけで完璧な状態に仕込むというのは非常に難しいんですね。
とは、長年の勘!! これは経験なくしてはできない作業ですよね!
こうしてできあがった生地は、
その後、機械である程度の長さに延ばしていきます。
そして延ばす作業の最後は、伝統の技 "手延べ"
箸をゆっくり入れながら麺を細く、長く延ばしていきます。それも麺が切れないように、そして、細さを均等に・・・
と、集中した作業が続きます。想像しただけでも難しそう(>_<)
麺が延びると、今度は、もう1つの伝統 乾燥作業の1つ「天日干し」
干し台には、2メートルほどに延ばされた
まるで絹糸のような美しい麺がつるされていて寒風に揺れています。
この風景は、四日市の冬の風物詩としても知られていますね。
天日干しの理由を、吉原さんに尋ねると
「朝の8時半から9時半頃までという1時間ではあるけれど
太陽の恵みと冷たい風を受けた麺は、
味が締まって色もより白く仕上がる」と。
たしかに、これを見れば納得!見てください。この美しい白さを・・・
手間ではあるけれど、こうしたひと手間が
おいしさにつながっているですね・・・
ちなみに、吉原さんのところでは必ず天日干しを行うわけですから
仮に、雨がしばらく続くようであれば作らないんです!
つまり、天候ありきのそうめん作りなのです!
そこまでしてまで、天日干しにこだわっていらっしゃるんですよね。
5、10分の間でも、麺は少しずつ変化(乾燥)するため
干している間も目を離すわけにはいかないそうです。
常に吉原さんは、麺の具合を見ながら
麺の向きをかけたり、ピンと張っていた麺をレバーで
少し緩めたりして仕上げていくそうです。
天日干しが終わると、今度は乾燥室でさらに乾燥・・・
最近は、乾燥すべてを室内乾燥で行うところも少なくない中、
吉原製麺所では、およそ1時間 天日干しを行った上で室内乾燥をしています
こうして今もなお、伝統的な製法にこだわり、
その技を守り続けている吉原製麺所
ファンが多いのもうなずけます。
ただ当然、手作業ということもあって、
多くの量を作ることができないそうで
吉原さんの作った麺は市場には並ばず、
毎年買ってくださる方や
直接買いに来られる方だけの予約注文となっているそうです
そうした貴重な麺を、今回なんと!お土産に、
「少しだけだけど、どうぞって・・・」くださったんです。
本当にうれしかったです!
吉原さん、ありがとうございました。
そして、さっそく帰って、にゅうめんにしていただきました♪
いや~、本当においしかったです!
麺自体にうまみがあって、強いコシ、
そして、のどをツルツルっとすべるように通るんです。
のどごしが他のものと比べて全然違うなぁと感じました。
それに、作る工程や努力を知った上でのことだったので、
よりいっそうおいしく感じました☆
昔は、この大矢知地区のほとんどが
この大矢知そうめんを、農業の副業(冬の仕事)として作っていたそうですが
それも、作業の負担や厳しさなどから辞めてしまうところが増え
現在では、およそ10軒となってしまいました。
私たちが代わりに作ることはできないけれど
商品を購入する、そのおいしさ味わうことで
わずかでも伝統を受け継ぐ、支える力になれば・・・と思います。
大矢知そうめんは、県内各地の物産館や
スーパーなどで販売されています。
ぜひ見かけたら手にとって味わってみてくださいね!
■大矢知そうめん
じばさん三重(三重北勢地域 地場産業振興センター)
住所 四日市市安島1丁目3番18号
電話 059-353-8100
HP http://jibasanmie.or.jp/home/