第30回インタビュー 能楽師 長田驍さん

今日を頑張るあなたに送るインタビュー。

県内で活躍されている方々のお話をお届けします。

今朝は、津市にお住いの

重要無形文化財能楽総合認定者 喜多流 能楽師 長田驍さんです。

9月インタビューゲスト.jpg

昭和13年10月名古屋市生まれ。

親に連れられて見た能を気に入り、

2歳10か月で能の家元に入門、 3歳で初舞台、

7歳で能を舞い、19歳でプロになられたそうです。

長田さん、お稽古は決められた範囲を何回もやるそうです。

40歳の頃は100回くらい。

すると一回りして元に戻ってくる。

その時、最初にやっていたのと同じかと思いがちですが、

実は厚みがついてきているのです。

そして稽古の成果が気持ちの中に入って、

見ている人の心に響くといいます。

繰り返すと、飽きないかと思うのは素人。

飽きる者はプロにはなれず、 何回も繰り返しやるのが上達への道で、

それだけの覚悟でやっているそうです。

能の魅力は先が見えないこと。

曲の練習をして、一段超えると向こうに門が見えてきます。

門が近くなるはずですが、ハードルを越えたらその門はさらに遠くなる。

先が見えないので、それに向かってがむしゃらに突き進む。

さらに能には現在200曲あり、すべて門の位置が違うそうです。

これをやったから次、簡単かと思いがちですが、違います。

一つずつ開いていかなくちゃいけないから挑み続ける。

能だけじゃなく、他の芸術も一緒で、同じように門がある。

それを超えた人が出せる雰囲気があるとそうです。

能を見るときのアドバイスとして、 長田さんは、

解説などはかえって邪魔になるのではといいます。

能は演劇ですが、一つは音楽でもあります。

静の中の動。

静かな内に心が燃えている。

じっとしている曲が多いので、

観ている方は動きがないからつまらないと思われがちですが、

観るんじゃない、聴く。

目をつぶって静かに。 居眠りでもいいんです。

"観るよりも、心で聴く"

すると、舞台全体の雰囲気が、

自然と観客の心に入ってきてくれるそうです。

長田さんは来月10月で80歳になられ、 今年限りで第一線を退き、

若い人たちの指導と後継者育成に取り組むそうです。

◆長田さんの信条◆

お稽古も、遊びも、何をやるにも一生懸命に。

何事にも一生懸命に取り組めば、 後になって、必ず自分の力になるからだそうです。

長田さんが関わられる舞台のご案内です。

どちらも入場無料でご覧いただけます。

是非、お楽しみください。

『竹灯り幽玄能』

日時:9月8日(土)午後5時~

場所:伊賀市のふるさと会館いが 外庭

『霧山薪能』

日時:9月29日(土)午後5時~

場所:津市美杉町 北畠神社境内 特設舞台

インタビュー、次回は10月の放送予定です。

山上和美でした♪