インタビュー 第13回 外科医・小説家 矢野隆嗣さん

今日を頑張るあなたに送るインタビュー。

県内で活躍されている方々のお話をお届けします。

今朝は、外科医であり、小説家でもある矢野隆嗣さんです。

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1952年松阪市生まれ。

伊勢高校、三重大学医学部を卒業の後、 松阪中央病院、済生会病院などを中心に、40年間外科医として活躍されました。

2002年には大阪文学学校に入り、小説を学び始めます。 現在は、文芸誌「あるかいど」の編集長をつとめていらっしゃいます。

著書に、『白い海へ』/佐伯晋(ペンネーム)/鳥影社 があります。

医師であった矢野さんが文学の世界に入ったのは、44歳の時。

当時14歳だった息子さんを交通事故で亡くされたことがきっかけでした。

この頃は悲しみを癒すために、暗い本ばかり読んでいたそうです。

しかしある時、ふと「小説を書いてみたい」という気持ちになり、 大阪文学学校にたどり着き、小説の書き方を学びます。

作家である小川洋子さんの好きな言葉があります。

「人は受け入れがたい辛い事実、現実を、物語という形で心の中にしまうという作業を常にしている」

だからこそ、知ってほしいという気持ちになった時、小説という形でその出来事を加工をするのだそうです。

それは人によっては、絵かも、音楽かも知れません。

でも、それが芸術というものなのです。

心の中の誰も入れない部屋を整理し直す、生きることは物語を作っていく作業だと矢野さんは言います。

矢野さんは、生んでくれたお母様を小学校4年生の時に病で亡くされました。

2年後、お父様が再婚。 育ててくれたお母様は現在89歳で、とてもお元気だそうです。

文学に親しんでいくと、2人の母親を持った幸せを感じると言います。

息子さんを失った時は打ちひしがれましたが、文学で救われれました。

◆矢野さんの人生観◆

喪失体験から立ち上がった時に、以前とは違う何かを手に入れる

今、夢を失ったり、理想と違うところで働いている方、 そこでひとつふんばったり、もうひと頑張りすると、後で何かを手に入れることができるかもしれません。

山上和美でした♪