インタビュー 第48回 田中伸子さん

今日を頑張るあなたに送るインタビュー。

県内で活躍されている方々のお話をお届けします。

今朝は、歯科医師田中伸子さんです。

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津市出身。

1984年東京歯科大学卒業、都内の歯科医院を経て、

1989年、お母様が開業する田中歯科へ。

1998年から院長を務めていらっしゃいます。

田中さんは2歳の時にお父様を亡くされました。

お母様と同じ歯科医師になられましたが、

そこにはいろいろな葛藤がありました。

結果的に歯科医師になっていますが、

選んだわけではなく、

行きたかった道はほかにありました。

でもその道に行くことは許されなくて、

あなたは一人っ子でお母さんの仕事を継いでいくんだと聞かされていましたし、

父を早くに亡くしているので私が女性でも生きていけるように

母から手に職をつけなさい、どうしても行きなさいと言われて、

それが当然であるかのように言ってくるので大喧嘩をしました。

あまりにもうるさいので、歯科のライセンスくらいとってやると

やけくそで選んだのが本当の理由です。

選ばざるを得なかったと客観的に思います。

私はこれが天職で本当に幸せで、みんなに感謝していて、

人の役に立つんだという職業選択ではなかった分、

苦しんだり、母との関係で葛藤があったり、

考える材料がたくさんあったので、

仕事の中には、何も苦しみがなくてやってきた歯科医療とは違って、

いろんな面からみた歯科医療の可能性を見出して、

自分の仕事の中に込めることができています。

だから今は、楽しいです。

歯が痛いとか、歯がきれいに並んでいないからうまく笑えないとか、

歯が悪くて来院される方に、

機能を回復するだけじゃなく、

その悩みをきっかけに、自分自身の人生や生き方を見直すきっかけになって、

その人がさらに幸福に健康になっていくきっかけを与える

大きな、深い可能性があるということを見つけました。

最近読んだ本の中で心に残った言葉があります。

「運命がレモンをくれたら、このレモンを悔やまずに、

 それからレモネードをつくることを考えよ」

これはデール・カーネギーの言葉です。

英語圏アメリカではレモンはあまりよくないもの、嫌なものとされ、

苦痛の象徴として「レモン」という単語を使います。

その嫌なものをレモネードに変える。

砂糖とソーダを加えることによって、人にもおいしいものを提供できる。

自分が与えられた苦難、

こういう風にしたくなかった、理不尽だと思ったり、

意にそぐわないと思ったこと、それがあるからこそ、

いろいろなことを考えて、自分に与えられているものは何なんだと思います。

最初のレモンがなければ、今の自分はなかったので、

自分が小さいころに与えられていないと思ったものが

レモンだったのかも知れません。

こうじゃなかったら、

これさえなければと思っていることが皆さんいろいろあるかもしれないですが、

もしかしたらそれはすごいプレゼントなのかもしれません。

悩みは酸っぱいレモンのようですが、

それを解決する中に、さらに素晴らしい未来が開けていくということは、

自分のこれまでの人生でつかんだ幸福というか、考えです。

それを患者さんにも味わっていただけるきっかけになればいいなと思いながら

歯科医療を行っています。

自分に与えられた「運命のレモン」をどうするか。

自分次第で、道は開けそうですね。

山上和美でした♪