三重映画さんぽ 「川端康成と横光利一展」で展示される貴重な映像作品

三重映画フェスティバル実行委員会のご協力によりお送りしている
「三重映画さんぽ」

今回は三重県立美術館で開催されている
「川端康成と横光利一展」で展示される 貴重な映像作品について、
館長速水豊さんにお話しいただきました。

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横光利一は今年生誕120年
生まれは福島ですが、
父の転勤の関係で伊賀市に住んでいたことがある三重県ゆかりの文豪です。

川端康成に比べ、横光の名はあまり知られていません。
しかし、横光は明治31年、川端は明治32年に生まれた同世代で、
文壇へのデビューも大正時代半ばという同世代。
菊池寛の紹介で二人は知り合い、仲間とともに同人誌『文芸時代』を創刊。
新感覚派と呼ばれ、新たな文学を担う作家として注目されました。

創作活動とともに、新感覚派映画聯盟を結成して映画製作にも関わるなど、
親友であった二人はこの当時、
モダニズムあるいは前衛芸術の推進者でもあったのです。

「新感覚派映画聯盟」と
亀山市出身映画監督・衣笠貞之助が製作した映画に 『狂った一頁』という
1926年(大正15年)の作品があります。
原作川端康成です。

今回の展示では、期間中、
映画『狂った一頁』の一部を展示室で繰り返しご覧いただきます。

『狂った一頁』はサイレント映画で字幕がありません。
日本映画初の前衛映画と言われています。

精神病院患者である妻を看るため、
住み込み、働く夫の苦悩が描かれています。

川端康成と言うと、
「伊豆の踊子」や「雪国」といった作品のイメージがありますが、
前衛や実験的な作品の時代があったのです。

11月3日には、美術館講堂で、
吉永小百合が主演を務めた 1963年日活映画「伊豆の踊子」を
午前と午後1回ずつ上映を行います。

11月13日夜には、美術館エントランスホールで、
横光利一の「春は馬車に乗って」と
川端康成の「女の夢」の演劇も行います。

この展覧会では、
大変珍しい川端康成と横光利一の手紙のやりとりも展示します。
二人が親友と言われた交友の深さを感じていただけると思います。
そして、二人の書籍の装幀の原画を展示しますし、
川端が集めていた国宝級のコレクションも展示をします。

文学と美術をミックスした展示になっています。
この展覧会をきっかけに、三重県ゆかりの横光利一を再発見してください。

「川端康成と横光利一展」
日  程:10月27日(土)~12月16日(日)
場  所:三重県立美術館
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
 休館日:毎週月曜日
問い合わせ:三重県立美術館 TEL059‐227‐2100

山上和美でした♪