インタビュー 第38回 数学者 森本宏さん

今日を頑張るあなたに送るインタビュー。

県内で活躍されている方々のお話をお届けします。

今朝は、森本宏さんです。

4月森本先生.jpg

1953年2月、伊勢市出身。

伊勢高校、名古屋大学理学部数学科卒業、

同大学院修士終了後、数学科の助手となり、

現在、名古屋大学名誉教授で、理学博士でいらっしゃいます。

Q、森本さんが感じる数学の魅力は?

A、小説を読むようなスリルとサスペンスがあって、

最後に光り輝く宝に行きついた感動が感じられる。

受験や学校の数学は答えがわかっていて、

それにたどり着く方法を習得する訓練のようなもの。

私が興味魅かれたのは、わけのわからない世界に数学者が来て、

どういうふうに解決していったか、

その結果どういう美しいものが得られたかということです。

難問が解かれるときは、

それまで誰も考えつかなかったイメージを持った人が解いていきます。

よく学生から聞かれるのは、どんなイメージを描けばいいか。

決して論理的ではなく、1枚の絵にできるような事。

答えはすぐに出ません。

だから私も悩んでいます。

フランスの数学者ポアンカレはずっと解けないと悩んでいて、

馬車に乗ろうと足を踏み台にかけた時に答えが出ました。

何かの時にふっと解けるものです。

解けるまでにもんもんと考え抜く、それが普段の生活です。

すぐ結果が求められる時代。

数学者はみな苦労しています。

私は凡人だから、さらに考え続けます。

投げ出さなかったのは

その先に、宝物があると期待できるから

我慢して考え続けることができました。

Q、息の抜き方は?

A、バイオリンを弾いて心を鎮めるということです。

バイオリンは高校の頃に、友達の矢野隆嗣君にもらいました。

また高校の音楽の上村先生がバイオリンが上手いと聞き及んで、

教えてもらいました。

高校時代に2つの幸運が訪れて、バイオリンを習うことができたのです。

そのバイオリン(写真)はずっと修理し続けて、

いつでも弾けるようにしてあります。

楽器もすぐに結果が出ません。

私もバイオリンを習い始めて、1年間結果が出ませんでした。

なかなか上達しないので、近所の噂となったほどです。

バイオリンも数学も共通して言えるのは

自分が好きで、ただやりたいということ。

結果として、今、役にたっています。

世の中にはそういうことがあります。

結果を出すことも大事ですが、

自分の好きなことを、ただ好きだからという理由だけで続けること

大事でなのではないでしょうか。

新生活が始まって1か月。

なかなか思うようにいかず、悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。

すぐに結果がでることばかりではないので、投げ出さず、気長に頑張ってください。

山上和美でした♪