9月9日 はぴはぴ子育て♪

秋なのかな~なんて空気は流しつつも

まだまだ暑い日は続きそうですね????

夏服はまだまだ活躍しそうです♪

【子育ての輪】・・《よく噛むことからはじまる健康づくり》

三重県歯科医師会 山中 寛貴先生をお迎えしました

今では、プロの選手でなくても利用している方が多くなった

『マウスガード』について

マウスガードとは・・

スポーツ中に起こる歯や口のケガを未然に防ぎ、大切な歯を守ってくれる

プロテクターつまりは安全具です。

強い衝撃から歯を守るために高性能な衝撃吸収材でできて、

上顎(うわあご)に装着するのが一般的です。

ボクシングでは歴史的にマウスピースと呼んでいますが、一般的には

マウスガードと呼ばれています。

今はコンタクトスポーツ以外の競技でも歯や口を守るために積極的に

使用されている方が多いです

いつごろからあるの?・・

日本歯科医師会の情報によると、世界最古のマウスガードは、

1892(明治25)年頃のイギリス製だそうです。

ロンドンの開業歯科医だった方がボクシング選手の求めに応じて、

ゴムを用いて手作りしてあげたのが最も古い記録のようです。

その頃はボクシング選手もマウスガードを装着せずに試合を行っていたそうで、

歯を折ったり、顎の骨を折ったり、脳への障害なども頻回に起こして、

なかには死亡する人も出ていたようです。そのため、ボクシング選手達が

パンチの衝撃を弱めるために上の歯と下の歯の間にゴムを入れたらどうかと

歯科医師に頼みに行ったのが始まりです。

アメリカでは、1916(大正5)年から作られるようになり、

その後日本にも伝わったとされています

日本でマウスガードが最初に作られたのは

1925(大正14)年のことだそうです

どんな競技の選手が使うもの?・・

マウスガードを義務付けしている競技や推奨している競技などがありますが、

キックボクシング・空手・格闘技・アメリカンフットボール・アイスホッケー、

テコンドーやバスケットボール、硬式野球など

また、

永久歯は一度失うともう生えて来ませんし、折れてしまっても再生しません。

スポーツで失う歯は圧倒的に上の前歯です。

食べる、話す、表情を作るなどの働きが失われてしまいます

歯や口に障害が残るような大きな怪我をしないように、

そして一人ひとりが安全を意識することはチーム力の向上にもつながります

歯科医師としては、マウスガードは小さいながらも安全にスポーツができるので

本人はもちろん指導者の方々にも理解していただけるように

普及活動を進めていきたいと思っている

マウスガードは歯や顎を守る以外の目的もありますか?・・

例えば、対戦相手や味方選手の歯との衝突です

サッカーのヘッディングの際やバスケットボールのシュートをした

ジャンプ後の着地時などに多く見られ、歯が凶器となってしまうケースによる頭部、

顔面、目などに対する外傷の予防・軽減もその一つ

スポーツ中の強い噛みしめをスポーツクレンチングといいますが、

ボールを打つ瞬間・投げる瞬間・走り出す瞬間などに大きな力が歯には

かかっています

そのことによる歯のすり減り、歯が欠けたりなどの予防・軽減もそうです

また、"マウスガードの装着によって力が出る"という話も聞いた事が

あるかもしれませんが、ナショナルトレーニングセンターのデータによると、

筋力のアップは認められ、パフォーマンスはアップするというデータが

あるのは事実です

しかしながら、一般の人が想像するような著しいほどの顕著な筋力アップ

までは認められなかった、 ともされています

一方で最も顕著な結果として、マウスガードを適切に装着することで

「体の軸が安定するつまり体幹が良くなる」 ということが証明されています

あとは、経済的な目的もあります

外傷を受けた歯は、当然のことながら何らかの治療が必要になります

この治療の費用もさることながら、生涯にわたる治療が必要になることも

少なくないため、マウスガードの使用による外傷の予防・軽減が必要です

マウスガード欲しい!となったらどうしたらいいですか?・・

一口にマウスガードといっても、様々なデザインやカラーのものがあり、

素材の種類も豊富にあります。大きく分けると、

既製マウスガードとカスタムメイドマウスガードの 2 種類

既製マウスガードはスポーツ用品店で売られているものなどで、

色々なスポーツメーカーから出されています

価格は 1,000 ~ 5,000 円程度です。比較的お安く購入できるので

コストの面から、既製マウスガードを第一選択する方も少なくないようです

安かろう悪かろうではないですが、既製マウスガードを試した多くの

スポーツ選手が装着感に不満を覚えるのは事実のようでして・・・

結局、マウスガードを持っているだけで、実際に使っていない人が

多いということも明らかとなっています

私も何度かクリニックで既成マウスガードを持ってこられた方を

拝見していますが、安定が悪く競技に集中できずパフォーマンス発揮にも

影響が出るのではと疑問に思ったことがあります

一方、カスタムメイドマウスガードは、

歯科医師または歯科医師の指示の下に歯科技工士が、選手一人ひとりの歯並びや

お口の大きさにピッタリ合うように、歯の模型上で精密加工成形するものです

歯のプロフェショナルが丁寧に調整を加えるため、フィット感、快適性、

かみ合わせの安定性の点で優れ、運動・スポーツの妨げにならない

マウスガードを体験することができます

ただし、料金は保険が適用されませんので、自費扱いとなります

料金は、競技により異なりますが、おおよそ 1万円~ 3万円ほど

私自身歯科医師でもありますし、せっかく購入するのであれば、

スポーツを頑張る方の安全のため、適合が良く専門的に調整された

マウスガードを装着してほしいと考えています

また、永久歯が生え揃う前の子どもさんの場合や歯列矯正をしている場合などは

歯科医師に気軽に相談して下さい

三重県歯科医師会では、県民のスポーツへの取り組みを

サポートするため、スポーツ歯学に関する知識を向上させることに加え、

学校歯科医としての役割分担なども含め、本会認定の

「スポーツデンティスト」を養成することに力を注いでいる最中です

三重県歯科医師会は、三重県スポーツ・健康づくり歯学(SHP)協議会

を中心に、正しい栄養摂取と体力づくり、健康の維持増進のための

歯と口腔の健康管理、歯・顎・口腔領域におけるスポーツ外傷の安全対策と

その指導およびスポーツ外傷の治療などを通じて、県内のスポーツ選手、

スポーツ愛好家、学校での児童生徒のクラブ活動等を含め地域住民の

健康づくりをサポートしています

一方、運動能力が著しく向上する中学校や高等学校では、

歯の傷害が多く発生しており、健康にスポーツに取り組むためには、

マウスガード普及による外傷予防の観点から、学校歯科医としての役割も

大いに期待されているんです

三重県民のスポーツの楽しみ方が増えていくお手伝いができるといいなと

思っています

気になる方は、かかりつけの歯科医の先生にご相談くださいね

【今日の絵本の世界】

『 わたしのろば  ベンジャミン 』   こぐま社

      

    ハンス・リマー  / 文

  レナート・オスベック  / 写真

    松岡 享子    / 訳