『 Focus on JAPAN 』⇒市長選から見る多文化・多民族都市ロンドン

みなさんこんばんは!ADのありさです^^*

G.W.も終わり、いつもの日常が戻ってきましたね。

そんな今日は、雨で少し肌寒い一日となりました。

暖かい(・・・むしろちょっと暑い?)日も増えてきましたが、まだまだ夏服に切り替えるには早いようです(^^;)

 

ではでは、今日の放送をチェックしていきましょう♪

 

 

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月曜コーナー  『 Focus on JAPAN 』

 

 

毎週、気になる「政治」「社会情勢」の話題をピックアップ。

分かりやすく解説しているこのコーナー。

三重大学人文学部の先生方に週替わりで担当して頂きます。

 

今日の担当は、『文化人類学』がご専門で三重大学人文学部 准教授の深田 淳太郎先生

お電話でお話を伺いました。

今日のテーマは『市長選から見る多文化・多民族都市ロンドン』

 

 

5月5日にイギリスのロンドン市長選が行われ、野党・労働党の候補者、サディク・カーン氏が当選しました。

カーン候補の得票率は56.8%、与党・保守党のゴールドスミス候補に13.6ポイントの大差をつけての当選となりました。

 

今回の市長選、争点となったのはロンドンの住宅事情の悪化への対策。

ロンドン市内の不動産が国内外の大金持ちの投機の対象になってしまい、普通の勤め人ではとても買うことができない値段になっているそうなんです。

賃貸住宅の費用も、2LDKで30万~40万などとんでもない価格に・・・

保守党は基本的には富裕層の中高齢者、つまり不動産を持っている側に支持されていることもあり、住宅価格を引き下げる政策をこれまで取ってきませんでした。

それに対し労働党は、今回の選挙で低家賃公営住宅や高価格住宅への特別課税、上がり続ける公共交通料金の凍結を訴えました。

結果庶民に支持され、カーン氏の勝利となったわけです。

この結果は事前の予測通りでしたが、それでも世界中で大きく報じられました。

なぜかというと、新市長となったサディク・カーン氏が、ムスリム=イスラム教徒であるからです。

EU圏の首都でムスリムの市長が誕生するのは初めてのことで、日本の新聞でもこのことが見出しになっています。

 

では、カーン氏はいったいどんな人物なのでしょうか。

カーン氏は、1970年ロンドン生まれ。

両親と6人の兄弟と共に南ロンドンの移民が多く住む地域の、低所得者向け公営住宅で育ちました。

大学では法律を学び、その後人権派弁護士として活躍します。

2005年の総選挙で労働党から出馬し、下院議員に当選し政治家になっています。

ちなみに、深田先生によると労働者階級からロンドン市長が出るのも初めてのことだそうです、

一方、保守党から出たザック・ゴールドスミス氏は、ロンドン西部の富裕層の多いリッチモンドを地元とする大金持ちの実業家の息子。

イートンカレッジをいう富裕層の子弟が通う、超名門校の出身です。

 

出自からして対照的な二人の候補者。

選挙戦では政策と同時に宗教の問題が一つの争点になりました。

ロンドンでは2005年にアルカイダが関与したとされる地下鉄爆破テロが起こったこともあり、一部の市民の間ではイスラム教に対する強い警戒心があります。

保守党・ゴールドスミス氏は、こういった意見を票に結び付けることを狙い、「我々はテロリストを友達だと思っている労働党に、偉大な都市を本当に引き渡すのか」とカーン氏を攻撃しました。

結果としてこのような戦略が裏目に出て、味方である保守党支持層からも酷いとそっぽを向かれてしまいました。

ロンドンはイギリス植民地帝国の首都として長い歴史を持つ町で、超が付く多民族多文化都市。

人口の3分の1以上が移民で、イスラム教も人口の12%を占め、今回の選挙では投票用紙がアラビア語やトルコ語など18の言語に翻訳されています。

こういった多民族・多文化の大都市ロンドンで、民族間・宗教観の対立を煽り、人々の分断を生み出すような戦略がノーと突きつけられたということは大きなトピックだと深田先生。

また、日本の新聞が「ムスリムの市長誕生」と表現すること自体にも疑問を突き付けている、と言います。

カーン氏をムスリムという一側面からだけとらえてしまうこと自体が、宗教観の違いや断絶ばかりを強調する見方にもなりかねないんだそうです。

カーン氏自身は、飲酒はせずイスラム教徒としての戒律は守る一方で、同性婚を支持するなど政策面ではリベラル。

また、自分のことを「ロンドン出身のイギリス人であり、ヨーロッパ人であり、アジア人であり、父親である。宗教は私の一側面に過ぎない」と話しています。

これらの様々な要素が混ざり合った人物としてのカーン氏が市民の支持を受けたということが、現在のロンドンの多文化・多民族という状況を象徴していると言えるかもしれない、そう深田先生は話されました。

 

深田先生、ありがとうございました!

 

 

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いかがでしたか?

それでは、EVENING COASTERまた明日夕方17時です!

聞いて下さいね♪